もくじ
知っているようで知らない人は要チェックしてネ
私、以前ライダースジャケットなどを取り扱う仕事をしていまして、そのときによく質問されたことをピックアップしたいと思います。私自身の経験と、私にご教授いただいた諸先輩方からお教えいただいた知識です。バイカー意識の内容にしますが、ファッションとして楽しみたい方にもご利用いただける情報ですので多くの方に参考にしていただけるかと思います。
正しいのは皮ジャン? 革ジャン?
まず漢字表記の問題から。かんたんに説明すると、無加工状態のが『皮』で、加工状態が『革』です。たとえばお牛さんを天に帰らして、皮を剥いだなら『皮』となります。無加工状態では放っておくと腐ってしまうので、何らかの加工(自然由来または薬品)ですると革になり、腐食を遅らせられます。
ですから製品として流通している物はすべて『革』で革ジャンと表記するのが正解ってことです。ヤフオクなどで出品するときは『革ジャン』とか『本革』と入力するといいですよ。もちろん剥ぎたて無加工の皮のジャンパーなら本皮と表記しますが・・・笑
PUってなに? フェイクレザーとは?
ではお次は『フェイクレザー』または『PUレザー』について。フェイクレザーならわかりやすいですね。レザーのフェイクですから『革みたい』や『ニセ革』と訳せます。後者はちょっと角の立つ言い方ですが、これは革のような素材という意味で、多くがポリエステルです。
石油由来ってことなので革ではありません。一般的には本革よりも低価格です。本革に比べ、加工もしやすいのでデザインの自由度もあります。しなやかでとっつきやすく、ちょっとコンビニに・・・程度でも気兼ねなく袖を通しやすい物が多いです。
しかし本革に比べると劣化しやすく、脇が擦れてボロボロになったり、加水化分解でベトベトしたり、ライターで炙るとたちまち溶けてしまったり(本革は溶けません)。なんでライターで炙るのって話ですが、本革とフェイクレザーを見分けるときに、ライターで炙る手法があるためです。目が肥えている人はそのような必要もなく見た目や手触りで見分けられますが・・・。
ここまで読むとフェイクレザーはあまりいいイメージがないかもしれませんが、ライダースジャケット好きな私はフェイクレザーも持っています。本革よりも暖かかったり、しなやかで着やすいのでおすすめです。ちなみに『PUレザー』もフェイクレザーを指します。
リアルレザーって?
これ、意外と落とし穴だったります。リアルレザーとは本来は本革を指します。高級ライダースジャケットなどでも、素材の表記(ジャケットの裏側の洗い方とかが書いているところ)に『リアルレザー』や『REAL LEATHER』と書いてあることも。
しかし一部のユーザーさんはその響きからか『フェイクレザー』と混同しているケースも見られます。ヤフオクなどの個人売買サイト、アプリでも勘違いからか、明らかにフェイクレザーなのにリアルレザーと表記していることあるので注意してくださいね。
ロンジャンとは? アメジャンとは?
ライダースジャケットには『ロンジャン』と『アメジャン』の二種類があります。まずはその起源について・・・ここからは私がアパレルの先輩から聞いた話なので、間違っている可能性があるのであしからず。
もともとは戦闘服だった(らしい)
ライダースジャケットとは、もともと戦闘機乗りが着用していた戦闘着らしいです。当時の戦闘機はスイッチやパネル、コクピット内装などの角が鋭利だったこともあり、擦れて破れないために頑丈に作られているらしい。もちろん防寒対策も兼ねています。
しかし時代の移り変わりや、コクピット内装の作りの技術向上によりポリエステルがシェアを占め、次第にバイク用品としてシフトしていったそうです。
元祖は『アメジャン』
ライダースジャケットの元祖とされるのがアメジャンです。アメリカのライダースジャケットと認識していいでしょう。USライダースと表記されることも。特徴は、袖の付け根のリブ、フロントタイプのベルト、太めのシルエットです。
袖の付け根にリブがあるので腕が動かしやすく、バイクも乗りやすくなっています。特にハンドル位置の高いとか、そうでなくてもハンドルが開き気味のハーレーダビットソンなどのアメリカンクルーザーにピッタリですね。80年代のアメリカのポップアーティストのステージ衣装に取り入れられたイメージもあります。
イギリス生まれの『ロンジャン』
アメジャンがベースとなり、カフェレーサースタイルに変化したっぽいのがロンジャンです。UKライダースとも言われます。ロンジャンとはロンドンのライダースジャケットと言った具合です。カフェレーサーの聖地、エースカフェはロンドンにあるのでそれが由来かと思いますが、ロンジャンの特徴は、袖付け根のリブがなく、サイドベルトでタイトな作りとなっています。
サイドベルトは、前傾になって乗るスタイルのカフェレーサーでは、フロントベルトだとタンクに当たることからこのような仕様になったのではないかと予想。パックロッカーが着ているのもこのタイプが主流ですね。また、現在のファッションの流れから、ファションブランドのライダースジャケットもこのロンジャンのシルエットを取り入れているものが多く見られます。
本革ライダースジャケットはメンテナンスも楽しめる
フェイクレザーのライダースジャケットは基本的にノーメンテでOKです。しかし自然由来の本革のライダースジャケットはお手入れが必要かも。
手入れ方法は?
本革ライダースジャケットは、定期的にお手入れするとグッドコンディションを長く保てます。お手入れとは主に『オイルアップ』を指し、オイルが切れてしまうと人間のお肌のように、カサカサになったり、水の影響を受けやすくなったり、デメリットが多いと言えるでしょう。
手入れ方法は3ヶ月または6ヶ月に一度、レザー用のオイルを手でヌリヌリしてあげます。なぜ手で塗るのかと言うと、ある程度温度がないとオイルが硬く塗りにくいからです。オイルアップ(注油)する前に、ホコリや汚れを取っておきましょう。
おすすめのオイルは、ラナパー製のオイルレザートリートメントです。自然由来の原料で、カビ発生などのトラブルも少なく評判となっています。他のオイルでもいいと思いますが、私はラナパーしか使ったことがありませんので。
ちなみに勤めていたアパレルショップや、先輩たちもこのラナパーを使っていました。あと、レザー用の防水スプレーを使ったらカビが生えたというトラブルを、数件お客さんから聞いたので注意してください。物によっては不具合があるようです。
手入れは必要か?
あえて手入れをせず劣化を楽しむユーザーさんもおられるようです。しかしノーメンテでは水気に弱く、表面が剥がれやすくなる、カビやすくなるなどトラブリーな環境となるので注意してくださいね。きれいな状態を保ちたい方はお手入れしましょう。
レザーライダースジャケットは水に弱いよ
先ほども触れましたが、レザーはライダースジャケットに関わらず、水気に弱いです。雨に降られ、そのままにしておくと濡れたところがシミになったりカビたりします。そのためにオイルアップしておくと水を弾きやすくなるのでそれらを予防する役割もあるので、定期メンテナンスがおすすめです。では濡れるとどのようなトラブルがあるのかを見てみます。
縮む
バイカーの方なら経験があると思いますが、牛革のグローブが濡れたり、洗濯したら縮んだ、という経験。一度縮んでしまうと元には戻らなかったりしますよね。そうなっては台なしです。再起不能状態。もちろんライダースジャケットを洗濯機に入れるなんてことをすると自殺行為なのでやめましょう。縮んだら終了です・・・。
色が褪せる変色する
これはありがちです。というか、すでにこうなってしまっている方もいるかもしれませんね。一部だけ水玉に変色してしまったなんてことが。ビンテージライダースジャケットでもこの状態で売られていることがあります。どんなに気を使っても雨に降られることはありますから仕方ないでしょう。
ライダースジャケットが濡れたときの対処法
着ているだから濡れることはあります! そんなときにお家に帰ってやっておきたい水気対策を紹介しましょう。
タオルなどで優しく拭き上げる
家に帰ったら、室内に避難したらぜひやっておきたいことです。タオルなどで優しく拭き上げてください。強くこすると変形などの二次トラブルが考えられますのでご注意を。風通しのいところで陰干しする
拭き上げてから直ぐにクローゼットに入れたらダメですよ。そうしたらカビが発生します。意外とかんたんに。私も経験があります。かならず風通しのいいところで陰干しです。天日干しやドライヤー、ストーブなどを使って早乾きさせると変形の原因になるのでやめてましょう。
ライダースってなんだか寒いんだけど! なんで?
ライダースジャケットを着てバイクに乗ったら・・・あれ? なんか寒いぞって思ったことありませんか? ”ライダースジャケット”だからバイカー向きかと思いきや、冬のツーリングには辛い! なんで! これは一説には革には水気があり、その影響で冷えてしまうようです。
風は通しにくいのですが、保温向きではないかも。その対策としてユニクロのウルトラライトダウンのようなものをインナーに着れば一気に快適になりますゾ! ウルトラライトダウンなら薄いのである程度タイトなシルエットのライダースジャケットでも無理なく着れるはず。
革ジャンはピッタリサイズがおすすめ
革ジャンは着れば着るほど体に馴染む、と言いますが、小さいライダースジャケットを着ていればいつかぴったりになると誤解されがちです。これはあくまでも関節部分が動かしやすくなるだけで、決して腕や脇、が伸びたり、胸周りが伸びるなんてことはありません。いや、あるかもしれませんが、数ミリくらいでしょう。
なのでジャストサイズがおすすめです。新品のときは固くて腕などが動かしにくいと思います。何度も着てるうちに革が柔らかくなりますよ。新品購入時はその変化を楽しみましょう。
シミができたときのごまかし方
暇な方、探究心のある方におすすめなシミの対処法です。ある日思いつきで友だちがやってみたところ、意外とうまくできたので紹介します。
染Qで塗っちゃう
染Q(染キュー)はスプレー缶の塗料です。染Qの特徴は『塗る』ではなく『染める』ということ。もともとの色に染め直すにも、違う色にチェンジするにもおすすめです。これまで黒を黒に、黒を青に染Qしましたが、以外に着色良く、きれいに仕上がりました!
どちらも雨に見舞われ、肩から背中にかけてひどい斑の変色があり、売るにも値段が付かないレベル(どちもSchott製)でしたが、染めたあとは絶賛モノ最終的にヤフオクでいい値段で売れたそうです。お試しあれ。
ライダースに使われる革の種類
個人的には素材にはこだわっていません。着やすいかとか、シワの粗め具合とか、とにかく気に入ったらOKだと感じています。それはさておいて、本革ライダースジャケットに採用されている代表的な種類をザッと紹介します。
水牛
バッファローとも言います。低価格なライダースジャケットに採用されがち。そして薄めなタイプが多い。
牛革
オスメス、去勢、年齢などによっていくつか種類があります。ライダースジャケットは牛革が主となっておりピンキリです。
羊
総じて高め。しなやかでしっとりしています。牛革の次に多く採用されているイメージ。
馬
ライダースジャケットにはあまり採用されません。ツルツルテカテカしていますが傷つきやすいです。
参考にしてくださいネ
高級な本革ライダースジャケットなら10万円を超えるものもあります。しかし、一度手に入れたら一生物とも言えるほど長持ちするので、気負いせずにお気に入りの一着を手に入れてみてはいかがでしょうか? 最後は長文になって疲れてしまったので、また追記でもします。笑
PUはポリエステルではなくポリウレタンですね。