もくじ
■外車・輸入車って壊れやすい?
一度は乗りたい外国車。日本車にはない感性で構成されている異国の自動車は、なんだか見て楽しい、触れて楽しい、乗って楽しいものです。しかし、外車といえば故障がつきものな気がしませんか? そんなわたくしは日本車を乗り継ぎ、現在はBMW 330Mスポーツに乗っています。E46という型で、もう古いやつです。
故障の件について、最近では当たり前のように外国産車が街を走り回っています(都市部では)が、はてさてどうなのでしょうか? ちなみに田舎では外車ってあまり見かけませんよね。そのせいか、ある地方に出掛けたとき、コインパーキングに入ろうとしたら「うちは外車は断ってます」と入庫拒否されました・・・。
コインパーキングの壁には「外車、左ハンドル車お断り! 暴力団根絶の町」と書いてありましたが、あのぉ・・・。どう見ても普通なんだけど? と複雑な気持ちになりました。あれはもう勘弁です。
■外車は故障しない? するの? どっちらけ
ネット検索をかけても賛否あるかと思います。この記事の内容はあくまでも個人の主観です。というのも、以前自動車屋に勤めていまして、そこでは日本車や輸入車(特にBMW、メルセデスベンツ、フォルクスワーゲンあたりが多かった)、チューニングカーやVIPカー、ドレスアップカーを扱っていました。
で、自動車の購入の相談を受ける立場にあり「BMWは故障しやすいですか?」「ベンツはどうですか?」「会社の社長がベンツに乗ってますが10年間ノントラブルですがどうですか?」なんて質問をよく受けたものです。
そのほか「外車は修理費が高い」なんてのも噂というか、そういった認識がありますね。日本に多く流通している車種は日本国内にパーツがあり、パーツ代も安い、しかしマニアックな車種になると、パーツの送料が高く、到着までに時間がかかる、なんて話も。
で、実際はどうなのかというと、空輸だと送料がバカ高く、コンテナ船だとまだ安いけど、到着までに時間がかかる、という話は聞いたことがありますが、真意についてはわかりません。(なんじゃそら!) BMWとかメルセデスベンツだったり、メジャーなメーカー、メジャーな車種ではあまりそういった話は聞きませんね。
以前、かなりゴージャスでプレミアムなセレブリティー御用達のスーパーカーの故障を取り扱ったことがありますが、たまたまパーツが日本に無く、かと言ってイタリア語も話せないし(笑)ということで、日本車の部品を加工して修理したことがあります。
□で、外車は故障しやすいのかしにくいのか
ごめんなさい。話が遠回りしていましたね。では本題に入ります。外車が故障しやすいのか、という問題ですね。これはハッキリ言います。「故障しやすい」です。以前、このような記事を書いたら、直接異議を唱える意見をいただきました。内容的には「海外では日本のように乗り換えるサイクルが早くありません。1台の車を何十年も乗ります。従ってあなたの記事は矛盾しています。」とのこと。
しかし実際はめちゃくちゃ壊れます。自動車屋に勤めていて実感しました。特に電気系統がめちゃくちゃ弱い! エアコン、ドアロック、ヘッドライト、異常を感知するセンサー、エンジン周りのセンサー、などなど。
外車ならどの国の車種でも共通しているといえます。でもでも! 海外に住む友人の話ではどうやら違うみたいで、現地では故障しにくいようです。そのことを踏まえると抗議文の意味も理解できます。ではなぜこのような現象が起こるのか? 現地では壊れにくい、日本では壊れやすい。しかも電気系統が。
■外車が故障しやすい原因は気候にある?
あくまでも推測ですが、外車が日本でバシバシ故障するのは、気候に違いがあるのでは? と予測します。とはいえ世界各国の気候なんて知りません。せいぜい、カリフォルニアは乾燥していて自動車の状態がいいものが多いとか、それくらいのもんです。
『日本は寒暖差が激しいために、自動車にとって過酷な条件である。そしてそれが日本車の精度を高めた』という文献を読んだ覚えがあります。そのお陰で塗装の技術なんかは、日本が長けているとかなんとか、聞いたことがありますがよくわかりません。
また、日本は入札製なので、ハーネス一つ取っても各企業がせめぎ合って、安くてクオリティの高いものとなった、なんて説も。最近は知りませんが、ちょっと昔はドイツ車の電装品はBOSCH(ボッシュ)が独占し、競合相手がいなかったから、少々クオリティが低くても・・・なんて話も聞いたことがあります。
このようになぜ壊れやすいか? なんてことはあくまでも憶測に過ぎません。が、日本車にくらべガンガン故障します。正直ありえません。
■部品は高く修理費も高く
では部品代は高いのか問題について。これは「パーツによる」が答えとなります。もちろん日本車もパーツによって値段に格差はあります。しかし、高いパーツが多いです。たとえばわたくしの乗っているE46の3シリーズ。これはドアロックを制御するパーツがあり、故障率は高めです。もしも故障したらパーツ代だけで7万円もします。
しかし、ありがたいことにBMWはメンテナンス性抜群です。チョーカンタン! 基本的には整備性に優れています。しかしですよ。自動車屋によって「外車手数料」なんて意味不明な工賃をプラスするお店もあります。割高な工賃の上に!
ちなみにBMW E46だけに絞ってお話をすると、パワーウインドーも故障しやすいです。ウインドー操作中に「バチン!」っていったら最後。窓は締まりませんし、開きません。これはあるあるトラブルです。
さらにE46後期型の318はエンジンオイル上がりまたはオイル下がりが頻発します。(エンジンオイルが燃焼し、なくなってしまう現象)こうなるとエンジン載せ替え、イコール廃車です。 まだありますよ、エアコン故障、オートマチック故障、エンジンチェックランプ点灯などなど。これでも外車が故障しにくいというのなら、反論はしませんが・・・。
■日本車と作りが違うあるある
外車あるある言いたい
早く言いたい
外車のあるある早く言いたい
●ガスケットが薄い・シーリングが薄い
たとえばエンジンのパーツ同士の合わせ面などにガスケットという、オイル漏れなどを防ぐパーツがあります。これが日本車にくらべめっちゃ手抜き(表現が合っているかわかりませんが)で、薄い、しょぼいというような、ちょっと過激な言い回しですが、そういった作りのものが多いです。外車がオイル漏れする要因の一つですね。定期的に交換などをする必要があります。
●そもそも作りがおかしい
前述のBNW E46のパワーウインドーの話を例に上げると、紐のようなものでガラスを上下させる構造です。動作を繰り返すと紐がすり減ったり、絡まったりすることで切れてしまいます。日本車では分厚い板状のギアを使用するので、モーターが故障するまで動作することが多いです。
あと、アメ車なんかによくあるのが、ルームミラーが落ちたり、ワイパーが飛んでいったり(笑)。決して古い車ではありませんよ! 意外と現役の車種でもこのような怪奇現象が起こります。
■頑丈な車である必要がないという考え方
外車にまつわるこんな話も聞いたことがあります。メーカーは新車をどれだけ売るか、です。年式の落ちた中古車のことまで考えなくてもいいとか。で、顧客の多くが走行距離5万キロまたは5年くらいで乗り換えるから、それまでの寿命をカバーできればいいと。
確かにだいたいそれくらいでトラブルが起こります。日本車は走行距離10万キロまたは10年くらいが目安ですから、その半分ですね。海外ではトヨタの自動車がムダに長持ちするから、お客さんの購入回転率が悪い! だからもっと寿命を減らせば生産コストも抑えられるでしょ? 新車も売れるでしょ? そうしなさい! なんてことをアメリカの権力者にいわれたようです。(噂ですが)
とにかく、以上のことから外国車は故障しやすいと”わたくしは”感じています。そんなわたくしは外国車に乗っていますが・・・。やっぱりBMWはいいですよ。『ホンモノ』ですから。
■やっぱり基本がおかしい
どうしても納得できないのが、チューナーモデル。要するにチューニングブランドが販売しているコンプリートカーのことです。具体的にはアルピナやAMGなど。このあたり、エンジンはとってもパワフルなのですが、どうやらオートマチックが弱い。ていうか、エンジンパワーに対してオートマチックが貧弱で、ちょっと乱暴に乗るとすぐ壊れる。
国産車じゃ絶対に有り得ない概念です。日本車って壊そうとしてもなかなか壊れないんですけど、外車じゃかんたんに壊せます。なんにも知らなかったとき、E60の545のオートマチックを即破壊したわたくしがここにいますから(泣)
ピューンって加速したらすぐに壊れました。オートマチックが前進1速に。無知って怖いですね。アグレッシブなお客さんにも「壊れやすいから気をつけてください」と忠告したのにやっぱり壊しちゃう。まぁ仕方ありませんね・・・。
■本当にあった外車トラブル
わたくしが実際に取り扱ったトラブルを紹介します。もちろん日本車でも、なにこれ! ってなトラブルはありましたが、外車が圧倒的に多いです。しかもアメ車が圧倒的に。あくまでもわたくしの統計なのであまり気にしないでください。
□助けてくれい!勘弁してくれい!事件
とあるアメ車(キャデラック:セヴィル)を購入されたお客さんからレスキューの知らせ。内容は「ドアが開かない! おしっこ漏れそうです! 今○○のローソンにいます! 内側からロック解除できません! 漏らしたら廃車っすーーー(泣)」
内心「んなこと言われてもなぁ。近くにいる人に助けてもらうとかすればいいのに・・・。」と感じていました。わざわざ30分かけて目的のローソンまで。完全にヤバそうな、笑えない表情の40代前半の独身男性が固まっているではないですか。で、外側のドアハンドルから開けようとしましたが、・・・なぜか開かない!
マジかーーーーー! なんかヤバそうだよーーーー!! と心の中で叫んだわたくし。お客さんはわたくしが来てから、もう放尿できると安心していた矢先だったので、限界を越えるっぽいです。どうすりゃいいかな? と考えていたら・・・オーナーさんが車内から「イキますよ! イキますよ!」と悶絶の叫びが。
おいおいまだイカないでくれい! と思っていたら・・・!!!
バシャーーーーン!
ええええええええ!!!!
まじかよ!!!!
思いっきりガラスを割って脱出!!!
「やり過ぎだろ・・・」と思いました。そそくさとコンビニのトイレへいった男性はさらに運が悪く、誰かがウンをしていたので、また期待を裏切る結果に。最終的にはコンビニの外で2分くらい放尿していましたが。スッキリした男性の手は真っ赤に染まり、血まみれに。しかも誰かが警察呼んじゃうし、もう軽い事件に。
その男性いわく、車内の放尿よりもガラス交換を優先したそうです。その後、ガラス交換を終えたキャデラック セヴィルは間もなくしてエンジンブローの終末に。なんじゃそら。
□台所と車が火の車事件
もう、これも車種は言いたくありませんが、アメ車のキャのセでした。これはマジでやばいなと感じた事件です。40代前半の女性が乗るそのキャのセ。走行中、トランクのあたりがなんだか臭いな? 香ばしい香りだな、と感じたそうです。トランクには淡路島のフルーツ玉ねぎ1箱が載っていました。
箱が崩れて匂いが充満したのかな? と思っていたそうですが、なんだか様子がおかしい。まるで中華料理屋の匂いがする! と。なんで調理した匂いなのかな~と、ふと道路横に停車し、トランクを確認するために開けた瞬間! ボワッ!!! と炎の柱が!!!
ビックリしてその場を離れたそうですが、携帯電話や財布などは車の中。しかし、明らかにヤバそうなので待避し、通りかかった人に消防車を呼んでもらったそうです。しかしその車は見事に炎上!
テレビは来るし、野次馬は来るし、財布と携帯電話、カバンと淡路島のフルーツ玉ねぎは灰となってしまった。しかし、運良く人通りが少なく、夜もふけていた時間帯、民家などもない場所だったので被害は最小限でした。早く気がついてよかったですね。しかし、残った車のローンに悩まされ、今ももがき苦しんでいるようです。
□全開事件
メルセデスベンツに乗っていた中東の30代前半の男性。いわゆる出稼ぎ労働者です。祖国は戦争や内紛などで不安定な状況。彼はメルセデスベンツが欲しくて欲しくて、ということで購入してくれました。これがいい! かっこいい! って嬉しそうに乗っていました。正直古いタイプで、売れなかったら廃車にしようと考えていましたが、祖国ではマフィアか金持ちしか乗れない車のようで、納車のときにはテンションあげあげだったのが印象的です。
そんなある日、生活範囲が同じためか、その男性がメルセデスベンツに乗っている姿を頻繁に見かけてしました。購入時にエアコンとか壊れやすいよってことはお伝えしていましたが、いつも窓全開で乗っていたので、エアコン壊れたんじゃないの? と心配し、声を掛けたら「ダイジョウブ、マドOK! スズシイ!」と。よくわかりませんでしたが、やっぱりエアコンは壊れていたようです。
とりあえず売ったばっかりだから無償で直すよっていってもなかなか伝わらない。男性は修理費がいると勘違いしていたのかな? まずそういった日本語が通じない状態でよく働きに来れるよなって、関心しました(英語も全然ダメでした)。
そんなある日、また男性とすれ違ったのですが、雨なのに窓全開! おいおい。なんで!? と、心配になり駆け寄ったら、今度は窓が全部閉まらない状態! 男性はズブ濡れ! でもなんか笑顔・・・なんて心の持ち主! 「ノーマネーOK! リペア! リペア!」っていっても拒否するばかり。もうわけわからん。
どうせヒューズかなんかだろうからちょっと見てあげようと車内に入ったら・・・なんかヤバそうな仲間2人と数本の”注射器”が・・・え・・・? シートの隙間とか足元に、バラバラと注射器落ちてるんですけど・・・。どうりで痩せているのネ。落ち着きもないし。
なんかヤバいっぽいので身を引きました。しかし、雨の中窓全開(4枚とも)だった彼の、いや彼らの神経が未だに理解できません。これが薬の魔力なのか?
□遅れて加速するジャガー
たとえば、声が遅れて聞こえるってのは、まぁ、ある話ですよね? うんうん
今回は遅れて加速するジャガーのお話。ジャガーって実は仕入れ値めっちゃ安いんですよ。もう、あれはって話。で、中古外車ってわたくしを含めて、お金はないけど見栄を張りたい人が乗ることも多いわけです。
この話のジャガーは違って、新車(1500万円くらい)で購入したときはオーナーさんもお金があったのですが、リーマンショックとかなんとかで、徐々に年収が減っていきましたとさ。すると車を買い換えることもできず、年式も落ち、故障を示す警告灯がバンバン光るように。
でもまだ乗れるっぽいってこと(自己判断)で、そのまま乗っていたオーナーさんでした。そのジャガーをある日わたくし、運転する機会がありましたのでインプレします。まずはブレーキを踏み、PからDへ。そして発進のためアクセルオン! ・・・オン! ・・・オン! ・・・オン! ・・・・・アレッ? ・・・んあ? ・・・オン! ・・・オン! !!! ブギャーーーーー!!!!!! キョワワワっておいー!!! レスポンスが秒単位で遅れてるーーー!! んでスンゴイホイルスピンしちゃったし!
そうです。原因は不明ですが(追求しなかった)、アクセルレスポンスが非常に悪い。アクセルオンしてから2、3秒後にスロットルが開く(フライバイワイヤ方式、いわゆるワイヤーを使わない電子スロットル)という症状でした。
これっていつからですか? って聞いたら、なんか以前から少しずつ遅れるようになった、とのこと。最終的にスロットル操作しても走らなくなったので、そのジャガーには旅立ってもらうことになりました。アーメン。
■そんなこんなでやっぱり故障しやすい
しつこいくらいに言っていますが、外車は故障しやすいです。でも中にはノントラブルで走り続ける個体もあります。なんで外車が日本車に比べて故障しやすいのか、については正直わかりません。憶測にしか過ぎません。この記事を読んで「いやいやそんなことないよ! こいつふざけるな! 嘘つき野郎!」なんて思われても仕方ないと思います。自動車の世界って、言い切りが難しいことだらけです。
たとえば新車を買ったときの慣らし運転論争、エンジンオイル論争、暖機運転論争とか、メンテナンスの仕方とか。なにが正しいとか、なにが間違っているとか言い出したらキリがないし、答えがわからないことばかりです。今回外車に批判的な内容となったことは申し訳ありません。そもそも国産車以外を一括りにすることもどうかと、自分で執筆しながら疑問もあります。
この記事はあくまでも、中古の輸入車を購入し、それを長い間乗る、という考えを持ち、これまで日本車しか乗ってこなかった方に向けた内容と考えてください。一度輸入車に乗ってしまえば、少々の故障も気にしなくなりますし、輸入車ディーラーでは、車検時などに壊れやすいパーツをまえもって交換するなどの手段を取ることがあります。
そのため車検費用が高いようにも感じますが、トラブルを未然に防ぐ、安心して車に乗る、という意味では正解です。また、自動車にかかる費用など、この記事では国産車にくらべてハイ&ローで表現しましたが、あくまでも基準であって、実際の金額はご自身の価値観で測っていただければと思います。
そういった意味でも執筆した内容が矛盾してしまうかもしれません。お店によって作業賃が違います。喫茶店のように、同じコーヒー一杯でも、量も違えば値段も違い、淹れ方も違うように、自動車においても、お店や整備士さんの考え方、整備方法などで、金額は上下するでしょう。
安ければいいとか、高いのがダメだとか、数字だけでは語れないのは事実です。自動車を購入するにも、整備するにも、ご自身が納得のいく方法をお探しください。
■最後にひとこと
わたしは外車に乗っています!
ライター:よろちゃん
私の地元(愛知県)にも外車の販売店が増えました。価格が国産車と変わらなくなって来たせいもあるのか、外車に乗っている人が本当に増えました(特にVW、ボルボ)。口は悪いですが、普通のおっさんまでもが外車に乗っているのを見ます。
故障が怖くても、外車に乗りたい!と言う人向けなんですね。